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【食のメタモルフォーゼ】 SYNAPSE Classroom Vol.01の感想
先日参加させて頂きました、食のメタモルフォーゼの感想をSYNAPSEのホームページに乗せて頂きました。
こちらにも、乗せさせて頂きます。
本当にしたかった企画。やりたかったことが叶った素晴らしい日だったのです。



私の考える食卓とイマの食卓のミスマッチ
「ある管理栄養士のやるせない想い」
管理栄養士は“御用学者”にされやすい
私が管理栄養士というと頻繁に聞かれることは「○○って身体にいいんでしょ?デトックスフードには何がいいの?」など、質問者にとって都合のいい回答が用意されていそうな質問ばかり。栄養学は身近な科学ではあるけれど、だからこそ簡略化され、都合良く利用されている側面があると感じています。私の考える食はもっと奥深く、高機能で、文化的、時に官能的でさえあるのに。随分と軽薄に考えられているなとイマの食にやるせない想いを抱きます。
またイマの食の分野では飽食や偏食、孤食、生活習慣病やメタボ、若年女性の異常なまでのダイエット思考など社会問題と絡み合った根の深い問題を抱えています。これらの問題の解決には小手先の理論ではなく、物事の根本を問うことが必要だと考えます。その点で、今回高橋先生から生物としてのヒトと文明人としての人にとっての食のミスマッチを教えて頂いたことで、現代の食の問題を新たな視点から見つめることができました。
これからの食卓の作り方擬似・採取生活」とリテラシー
「飽食の現代、私たちが食べ物を入手する為の行為は、スーパーマーケットで買い物カゴに物を入れること。これはまるで木の実の採取をしていた時のようであり、擬似・採取生活と言える。スーパーで人々は美味しいとか安いとか言った理由で、ほとんど考えもせずに食べ物を選択しているけれど、生殖寿命を超える長寿命を手に入れた私たちは生活習慣病や肥満といったリスクを抱えており、栄養素の意図的な摂取を心掛けなければならない。」という高橋先生のお話の中で印象的でした。
これを私の言葉で言い換えますと「私たちには食べ物を選択する自由がある。と同時に、自身の健康維持を心掛けた選択をする義務もある。その際には“選択する能力“が必要とされてくる。」となります。“選択する能力”とは基礎的な生物学や(アミノ酸スコアなどの)栄養学の知識だけでなく、商品のうたい文句に惑わされないリテラシーが必要であると考えます。また生徒役として参加された佐々木さんの質問からメディアリテラシーの話へと話は広がり、情報分野でも同様の問題を抱えている事の気づきや、自身の問題を見つめる多角的な視点を得ることができました。
栄養士がどんな大義名分を掲げて、食生活の改善や食育などを訴えても飛躍的な事態の改善は難しいのではないでしょうか。しかし今回の企画のような異分野との触れ合いの中に、思いがけない問題解決の糸口があるような希望を見出しました。表層ではなく、深く学び知るからこそ、セレンディピティの喜びと出会う事もあります。言葉を手にし、学びそれを伝える事は文明人としての人にこそできる事。今回のような学びの機会も大切にしたいと思いました。
最後になりましたが、今回のイベント食のメタモルフォーゼの開催にご尽力頂きました高橋先生、生徒役の皆さん、SYNAPSE projectの皆さん、本当にありがとうございます。
====以下、講義の内容に沿って用意させて頂きましたお料理の説明です=====
シナプス学食、コンセプトは「アミノ酸スコア100フード」
私達、芸術栄養学は今回のSYNAPSE classroomの終了後に、
頭での理解を身体に定着して頂く為の“学食”という名のフードをご用意させて頂きました。
講師であります高橋先生の著書「ヒトはおかしな肉食動物」の中で度々アミノ酸のバランスについてのお言葉があり、私達は今回、その言葉をアイデアの種として“学食”の献立を作っていきました。
そもそもアミノ酸のバランスとは
達私ヒトの身体は数多くのアミノ酸から構成されていますが、もともと“肉食”であった私達には食べ物からしか補うことのできない9種類のアミノ酸があります。それを必須アミノ酸と呼び、食べ物の中にその9種類のアミノ酸がどのようなバランスで含まれているのかを示しているのがアミノ酸スコアです。ヒトの体構成に望ましいバランスで含まれている物をアミノ酸スコア100と示します。高橋先生の講義の中でも出てきましたが、人口爆発に一役買ったと言われているジャガイモはアミノ酸バランスが100の食品です。一方、私達が普段主食にしてる米や小麦のバランスアミノ酸スコアは70・40程度です。しかし、100に満たない食品でも、食事での組み合わせを心掛けることでアミノ酸スコアを100にすることができます。
また、このアミノ酸スコアを”生物としてのヒト”と”文化の中に生きる人”という観点から見た際にとても面白いある種の合理性が浮かび上がります。それは昔々の先祖達が築いてきた「米+みそ汁」や「パン+チーズ」などの食文化がアミノ酸スコア100の組み合わせであるということです。このような世界各地の食文化は、遠い昔の先祖達が工夫を凝らして作り上げた現代への贈り物と言ってもいいかもしれません。だとしたら、この食文化を未来に繋いで行くことは私達の責務といっては大げさでしょうか。
何気ない日常に先人達の知恵が集積している。
時に学術に耳を傾けたると、知らない世界を知れる。そして、同時に見えていたはずの世界がもっとクリアに見えてくるのかもしれません。
今回のイベントでは、そんな、実は理にかなっている組み合わせのお料理を用意しました。
================

パン在る所にチーズ在り
◎黄金コンビのパン+チーズ
以下の3種をご用意致しました。
①固めのしっかりしたチェダーチーズには紫キャベツのピクルスで酸味のアクセント。目にも美味しいコントラスト。
②マスカルポーネを多めのラム酒と少しのハチミツで練り、ナッツとドライフルーツをのせた大人の組み合わせ。
③カマンベールの優しい塩味とデニッシュの甘味のコンビ、ぴりり2つを繋ぐは黒こしょう。
================

日本の朝に欠かせない
◎お味噌を添えた、豆腐と米粉のさくさくボール
炊き立ての白飯の隣には湯気立つ豆腐のお味噌汁。
日本人なら誰もが頷くこの組み合わせ。
味噌も豆腐も大豆製品ですが、実は米に足りないリジンというアミノ酸を多く含んでいます。
今回は水切りをした豆腐をメインに、米粉をまぶしてさくっと揚げました。
そこにお味噌を添えて一口で食べられるアミノ酸スコア100ボールです。
================

人口爆発の源
◎世界を旅したジャガイモ料理
組み合わせること無く、そのままでアミノ酸スコアが100なので味付けを変えただけで3種類を用意しました。ジャガイモそのものの味がたんぱくだったからこそ、どこの国の味付けにも馴染んだのではないでしょうか?
①スパイシー沢山:じゃがエスニック
②トマトの旨味で:じゃがイタリアーン
③とろりあんかけ:じゃがチャイナ
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こちらにも、乗せさせて頂きます。
本当にしたかった企画。やりたかったことが叶った素晴らしい日だったのです。



私の考える食卓とイマの食卓のミスマッチ
「ある管理栄養士のやるせない想い」
管理栄養士は“御用学者”にされやすい
私が管理栄養士というと頻繁に聞かれることは「○○って身体にいいんでしょ?デトックスフードには何がいいの?」など、質問者にとって都合のいい回答が用意されていそうな質問ばかり。栄養学は身近な科学ではあるけれど、だからこそ簡略化され、都合良く利用されている側面があると感じています。私の考える食はもっと奥深く、高機能で、文化的、時に官能的でさえあるのに。随分と軽薄に考えられているなとイマの食にやるせない想いを抱きます。
またイマの食の分野では飽食や偏食、孤食、生活習慣病やメタボ、若年女性の異常なまでのダイエット思考など社会問題と絡み合った根の深い問題を抱えています。これらの問題の解決には小手先の理論ではなく、物事の根本を問うことが必要だと考えます。その点で、今回高橋先生から生物としてのヒトと文明人としての人にとっての食のミスマッチを教えて頂いたことで、現代の食の問題を新たな視点から見つめることができました。
これからの食卓の作り方擬似・採取生活」とリテラシー
「飽食の現代、私たちが食べ物を入手する為の行為は、スーパーマーケットで買い物カゴに物を入れること。これはまるで木の実の採取をしていた時のようであり、擬似・採取生活と言える。スーパーで人々は美味しいとか安いとか言った理由で、ほとんど考えもせずに食べ物を選択しているけれど、生殖寿命を超える長寿命を手に入れた私たちは生活習慣病や肥満といったリスクを抱えており、栄養素の意図的な摂取を心掛けなければならない。」という高橋先生のお話の中で印象的でした。
これを私の言葉で言い換えますと「私たちには食べ物を選択する自由がある。と同時に、自身の健康維持を心掛けた選択をする義務もある。その際には“選択する能力“が必要とされてくる。」となります。“選択する能力”とは基礎的な生物学や(アミノ酸スコアなどの)栄養学の知識だけでなく、商品のうたい文句に惑わされないリテラシーが必要であると考えます。また生徒役として参加された佐々木さんの質問からメディアリテラシーの話へと話は広がり、情報分野でも同様の問題を抱えている事の気づきや、自身の問題を見つめる多角的な視点を得ることができました。
栄養士がどんな大義名分を掲げて、食生活の改善や食育などを訴えても飛躍的な事態の改善は難しいのではないでしょうか。しかし今回の企画のような異分野との触れ合いの中に、思いがけない問題解決の糸口があるような希望を見出しました。表層ではなく、深く学び知るからこそ、セレンディピティの喜びと出会う事もあります。言葉を手にし、学びそれを伝える事は文明人としての人にこそできる事。今回のような学びの機会も大切にしたいと思いました。
最後になりましたが、今回のイベント食のメタモルフォーゼの開催にご尽力頂きました高橋先生、生徒役の皆さん、SYNAPSE projectの皆さん、本当にありがとうございます。
====以下、講義の内容に沿って用意させて頂きましたお料理の説明です=====
シナプス学食、コンセプトは「アミノ酸スコア100フード」
私達、芸術栄養学は今回のSYNAPSE classroomの終了後に、
頭での理解を身体に定着して頂く為の“学食”という名のフードをご用意させて頂きました。
講師であります高橋先生の著書「ヒトはおかしな肉食動物」の中で度々アミノ酸のバランスについてのお言葉があり、私達は今回、その言葉をアイデアの種として“学食”の献立を作っていきました。
そもそもアミノ酸のバランスとは
達私ヒトの身体は数多くのアミノ酸から構成されていますが、もともと“肉食”であった私達には食べ物からしか補うことのできない9種類のアミノ酸があります。それを必須アミノ酸と呼び、食べ物の中にその9種類のアミノ酸がどのようなバランスで含まれているのかを示しているのがアミノ酸スコアです。ヒトの体構成に望ましいバランスで含まれている物をアミノ酸スコア100と示します。高橋先生の講義の中でも出てきましたが、人口爆発に一役買ったと言われているジャガイモはアミノ酸バランスが100の食品です。一方、私達が普段主食にしてる米や小麦のバランスアミノ酸スコアは70・40程度です。しかし、100に満たない食品でも、食事での組み合わせを心掛けることでアミノ酸スコアを100にすることができます。
また、このアミノ酸スコアを”生物としてのヒト”と”文化の中に生きる人”という観点から見た際にとても面白いある種の合理性が浮かび上がります。それは昔々の先祖達が築いてきた「米+みそ汁」や「パン+チーズ」などの食文化がアミノ酸スコア100の組み合わせであるということです。このような世界各地の食文化は、遠い昔の先祖達が工夫を凝らして作り上げた現代への贈り物と言ってもいいかもしれません。だとしたら、この食文化を未来に繋いで行くことは私達の責務といっては大げさでしょうか。
何気ない日常に先人達の知恵が集積している。
時に学術に耳を傾けたると、知らない世界を知れる。そして、同時に見えていたはずの世界がもっとクリアに見えてくるのかもしれません。
今回のイベントでは、そんな、実は理にかなっている組み合わせのお料理を用意しました。
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パン在る所にチーズ在り
◎黄金コンビのパン+チーズ
以下の3種をご用意致しました。
①固めのしっかりしたチェダーチーズには紫キャベツのピクルスで酸味のアクセント。目にも美味しいコントラスト。
②マスカルポーネを多めのラム酒と少しのハチミツで練り、ナッツとドライフルーツをのせた大人の組み合わせ。
③カマンベールの優しい塩味とデニッシュの甘味のコンビ、ぴりり2つを繋ぐは黒こしょう。
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日本の朝に欠かせない
◎お味噌を添えた、豆腐と米粉のさくさくボール
炊き立ての白飯の隣には湯気立つ豆腐のお味噌汁。
日本人なら誰もが頷くこの組み合わせ。
味噌も豆腐も大豆製品ですが、実は米に足りないリジンというアミノ酸を多く含んでいます。
今回は水切りをした豆腐をメインに、米粉をまぶしてさくっと揚げました。
そこにお味噌を添えて一口で食べられるアミノ酸スコア100ボールです。
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人口爆発の源
◎世界を旅したジャガイモ料理
組み合わせること無く、そのままでアミノ酸スコアが100なので味付けを変えただけで3種類を用意しました。ジャガイモそのものの味がたんぱくだったからこそ、どこの国の味付けにも馴染んだのではないでしょうか?
①スパイシー沢山:じゃがエスニック
②トマトの旨味で:じゃがイタリアーン
③とろりあんかけ:じゃがチャイナ
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by geijutsu_eiyo
| 2012-02-07 23:58
| 【イベント_広報活動】
【食のメタモルフォーゼ】 SYNAPSE Classroom Vol.01

昔っから考える事が好き。
なんで?って言葉を投げつつけて、
24歳になってもまだ湧き上がる「なんで」は収まらない。
考えて、考えて、考える事を考えて、、それをまた考えて、、、
そんな私のメールアドレスは
哲学者ルネ・デカルトの「コギト・エルゴ・スム」
我思う故に我有り。
考えるから、私はここにいる。
そんな私が長年問いかけ続けている事。
「食べるって何?」
この問いがこちらのイベントになりました。
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SYNAPSE Classroom Vol.01
「食のメタモルフォーゼ」
2011.11.13 (Sun) 15:00 – 18:00
at 3331 Arts Chiyoda ¥2000
=====================================
「学術と社会を繋ぐ」をコンセプトに掲げている団体:SYNAPSEの企画のお手伝いをさせて頂きます。
生きる上で不可欠な「食」について、研究者と多彩な分野で活躍されているゲストが議論を展開致します。
ありふれた事象に対して様々な角度から疑問を感じ、思考を巡らせるSYNAPSE Classroom。
ゲストに農学博士の高橋迪雄先生をお迎え、生物にとっての食とは何だったか?を切り口に多角的に食を解剖していきます。
そんな先生の講義にスパイスを効かせる質問を投げかけるのは多方面で活躍する生徒役の皆さん。
NOSIGNERさん、HITSPAPER佐々木新さん、モコメシさん、小倉ヒラクさん、そこに芸術栄養学も参加させて頂きます。
講演の後には「学食」と題した芸術栄養学の愛情を込めた
コンセプチュアルなフードもご用意してお待ちしています。
ご予約は以下HPより
http://synapse-academicgroove.com/2011/10/19/synapse-classroom-vol-01/
=================================
芸術の秋。食欲の秋。
芸術栄養学の秋。
この秋のおっきなイベント。来て欲しいな。
▲
by geijutsu_eiyo
| 2011-10-25 00:42
| 【イベント_広報活動】
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